今回は、所有している家を貸し出すときのポイントを記述していきたいと思います。
一棟賃貸マンション・分譲マンション一室・一戸建てなど、様々なケースに当てはまります。
査定
貸し出しするにあたってまずは自分の家がいくらで貸し出しできるのか、これを知る必要があります。
売却の査定と大きく違うのは、今の査定額だけではなく将来の動向についても予想を立てる必要があります。5年後、10年後に現在の賃料がどれだけ保てるのか。新築物件と築10年を超えた物件では同じ広さ立地でも金額が変わるのが一般的ですね。
これを踏まえたうえで査定を出しましょう。
手放すまでのシミュレーション
貸している物件も売却や相続などで手放すときがきます。
売却であれば、何年でいくらの収益があり、補修や固定費でどれくらいのランニングコストがかかるのか計算しておきましょう。
相続であれば、相続人は何人いてどういった分配にするのか考えておきましょう。どんなに仲の良い親族でも相続を機に関係が悪くなったという事例を数多くみております。不動産の財産があり事前に取り決めをしていない場合はほぼ100%に近いくらいもめます。具体的に話すと何十行も使ってしまうので、ここではざっくりと、不動産を残すならばそれと同等以上の現金も残しておきましょう。不動産だけ残され共有で相続をすると誰が売却までの税金や維持管理を持つのか、売却した際はそれまでかかった費用の清算はどうするのか、税務処理は?売却活動は誰が対応して手数料などどう負担するのかなど、細々したお金の取り決めが大変です。売却と賃貸で意見が分かれたり、賃貸物件を相続した時の維持管理費用や賃料収入の分割などは更に大変です。これは生前に不動産と同等以上の現金を用意しておき、片方は不動産、片方は現金といった相続ができるようにすることを強くオススメします。
投資で売り抜けを考える場合は賃料収入の推移・空室リスク・補修改修費用・ローンの減り方などを考えておきましょう。一戸建てを貸す場合、築浅の物件は特に注意が必要で建物の償却のペースが速く、賃料収入よりも物件の売却金額の目減りのほうが早いと意味がありません。(1年あたり150万円賃料収入があっても、売却の価格が5年で1000万円下がったら意味がありません。)売買価格も下がって賃料も下がって、更には賃貸人がつかない状態になったらせっかくの物件を赤字で手放すことになります。土地の価格が上がる可能性がある立地以外では慎重に貸し出しの判断をしましょう。
貸し出しの流れ
通常の貸し出しの流れとしては以下の通りになります。
①クリーニング補修作業
②募集方法の決定
③貸し出し条件の設定
クリーニング補修作業
賃借人が住めるように壊れているものは直す必要があり、汚れているものはキレイにするというのが基本的な考え方ですが、程度が難しいです。
貸し出し物件のクオリティによってコストを考えましょう。
ターゲット層が学生や新入社員など、クオリティより安さやコストパフォーマンスを重要視する例えば1Kのアパートなどでは設備を新品に入れ替えて賃料を上げるよりも、最低限の補修をして貸し出し条件を借りやすくしてあげたほうが効率的です。(敷金や礼金などの初期費用を下げたり賃料を周辺相場より安めに設定たり)壁紙がちょっとだけ傷ついていたり設備がちょっと古かったりしても構いませんが補修はスピーディーに内見が入る前に完了させてしまいましょう。
補修前の状態を見せると「補修したら凄くきれいになって設備も新しくなるかも」と考えられて入居後にクレームになったり、「この汚れた状態の部屋が住むときにどうなるのか予想できなくて決められない」など、空室期間をいたずらに引き延ばしてしまうからです。完ぺきではないが、ここまでやった。この状態で入居してもらうという状況にしておけば内見によってクレームや機会損失の防止になります。
一方で、高額物件やクオリティの高い物件はお金をかけてでも補修を完ぺきにし、賃料で回収しましょう。賃借人は初期費用で総賃料の5.5~6倍を支払います。15万くらいの物件で100万円近い初期費用を払うのです。もちろんそれに見合ったクオリティが求められます。壁紙が明らかに使用感あったり壊れているものがそのままだったりすればクレームに繋がります。入居後に結局クレーム対応して人件費が余計にかかり無駄な出費につながっては意味がありません。
募集方法の選択
各不動産屋によって様々なプランがあり、電鉄系の某T社などは手数料を少し多く払うと設備の不具合補修も面倒を見てくれるプランがあったりします。ただ、一般的には大きく分けて3種類①募集のみの媒介②集金管理付きの募集③借り上げ(サブリース)となります。
①募集のみの媒介
募集活動を主に行い、その他は更新や退去の対応くらいはついてくることが多いですが、集金など家賃の管理は自分で行うプランです。賃料の流れが入居者→所有者というものです。成約時や更新時などの限られたタイミングのみで手数料がかかるものの毎月の管理料は発生しないプランです。
不動産賃貸に精通し、細かく入金の管理が自分でできる環境の人にのみオススメします。手数料がかからないからと言ってこのプランでスタートし、滞納などのトラブルが発生してから慌てて管理会社を探す方がおりますが、既にトラブルを抱えている、管理開始までに悪化しているかもしれない状態の物件をどこの会社が管理するでしょう。管理の自信が無い方、管理できる状態に無い方は管理会社を入れることをオススメします。
②集金管理付きの募集
募集・更新・退去のような業務も行いますが、入居中の入居者管理(集金や保証会社の弁済請求業務)を行ってもらうプランです。賃料の流れが入居者→管理会社or保証会社→所有者となるため、滞納や未入金があった場合、管理会社が気づいて入居者に未入金のお知らせなどを行います。毎月の管理手数料がかかりますが賃料の3~5%くらいが相場です。
③借り上げ(サブリース)
不動産業者に借主となってもらう契約です。多くの場合は相場賃料の80~90%程度で借り上げされるケースがあります。相場が10万円であれば8万円で業者が借り、業者から一般に向けて10万円で貸す。成約すれば業者は差額の月2万の収益となるわけです。
注意すべき点は「免責・賃料見直し時期・貸主という立場」です。
免責期間(入居者がいてもいなくても賃料の入ってこない時期)が存在する場合があります。例えば転貸者(実際の入居者)が入れ替わる際は1カ月免責など。タイミングの確認をしましょう。
賃料見直し時期がどこに設定されているのか「1年に1回、2年に1回いろんなタイミングになります。このサブリースというのは業者と個人のやり取りでありながら、立場の強い借主が業者、貸主が所有者という図式になっています。賃料の値下げ提案があったとき、相場観を提示して対抗できるくらいの情報を持っていれば良いですが、業者が損を出さないようにいいように使われて終わりでは収益の確保になりません。
個人的にはサブリースは推奨しません。特に人気のある地域では。本当に人が入るかわからない物件で、それでもサブリースしてくれるというならば、それは検討に値すると思いますが、不動産市況がわからずにサブリースに手を出すと本来得られるはずだった収益を損してしまうこともあるので、よく吟味しましょう。
貸し出し条件の設定
貸し出しの賃料や貸し出しの方法が決まったら条件の設定です。
設備
コンロや給湯器など最初からついているものはそのままで良いですが、エアコンや照明、カーテンなどをどうするか決めておく必要があります。高額物件は照明など入居者が好きなものを買って付けることも想定して照明は無しだったり、学生向けはそのままお金をかけず生活できるように照明はつけておいたほうが良いなど、物件によって提案方法はまちまちなのですが、一般的に多い事例から平均をとってご提案します。
エアコン⇒1台を残し、残りは撤去することをオススメします。1台あればエアコン付き物件として募集ができるので無しよりはあった方が良いですね。ただ、3台も4台もあると補修や入れ替えのコストがかさんできます。残置物というものにして補修義務を免れるという手もあるのですが、借主は残置物というものの概念を知らないで補修してもらえるものだと思っている場合が多くみられます。トラブルの元なのでなるべく残置物は避けることをオススメします。それに残置物ということは入居者がいらないと言った場合には原則外してあげる必要がありますがエアコン外すのにもお金がかかりますし、汚れれば再度クリーニングを入れないといけないなど厄介なのでエアコンを残すときには設備として、故障したら補修をしてあげるというのをオススメします。
照明⇒基本的には無しとすることをオススメします。残すならば残置物として置いておくことをおすすめします。残置物は所有権を放棄する形になるので、入居者の退去時に持っていかれたり処分されても、それに対する請求はできません。また、残置物であれば撤去してほしいと言われたら外して回収する必要があります。エアコンと違って所有者自身でも簡単に外して回収できるので残地物でも良いと思いますが、外しに行く手間など考えると最初から無しとしておくことをオススメします。
カーテン⇒これも無しとすることをおすすめします。残置物としても良いですが、よほどキレイな使用感の無いオーダーカーテンとかでなければ、たいがいは不要なので外してほしいと希望が来ます。わざわざ外すことを考えたら最初から無い方が良いですね。
入居者条件
ペットを飼ってよいのか、外国籍は・・・など、取り決めをしておく必要があります。
ペットの可・不可は物件によって既に規約で決まっていることもあります。ペット不可の規約があるのにペット可で募集をかけたりしないよう注意しましょう。ペット可の建物でも、部屋ごとにペット不可などの制限をつけることはできます。最近多く見かけるのは「ペット買う場合は敷金1カ月を積み増し。積み増しした1カ月の敷金は退去時に償却」なんていうのもよく見かけますね。
外国籍や高齢者の入居を制限するということもできます。ただ、申込みが入ってから断るのは探してくれる入居者も可愛そうですし、物件としても紹介してくれる仲介会社に「あそこは申込み入れても条件の打ち合わせがちゃんとできていないからオーナーの審査で落ちる」と言われて申込みが入りずらくなっても損をしてしまいます。募集の段階でしっかりと打ち合わせをしておきましょう。また、近年は大手企業で働く日本語も喋れる外国籍が多くなったり、高齢者が持ち家を手放して十分な現金を持って賃貸に住むということも増えております。ご所有の物件はターゲット層をどこに絞ったらいいのか吟味して条件付与すると良いかもしれません。
まとめ
賃料と募集方法(手数料)を確定させて、募集条件を決定する。この流れが導入となります。
その他、管理会社はどういう選び方をしたら良いか、補修費用や管理コストについて悩んでいる、適正な賃料を再確認しておきたいなど、ご相談ごとがあればお問い合わせフォームからお問い合わせお願いいたします。
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